トップへ戻る
データ・レポート / 業界トレンドJul 21, 2026Net Influencer

ブランドが対面のクリエイター体験に投資し始める理由

クリエイターの影響力は、フォロワー数だけでなく、参加者が実際に集まるコミュニティの強さでも測られ始めている。ブランド予算は体験型マーケティングや対面接点に向かい、AI生成コンテンツが増えるなかで、現実の場に集まる価値が高まっている。

ブランドが対面のクリエイター体験に投資し始める理由

Net Influencerは、ブランドがクリエイターの投稿枠を買うだけでなく、既存コミュニティの対面イベントに参加する動きを取り上げた。KristenとMaddie(@krisandmads)の読書会を軸にした旅行企画が数分で完売した事例を起点に、対面接点、コミュニティ、信頼の関係を整理している。

読書会発の旅行企画が短時間で完売

旅行会社は、KristenとMaddie(@krisandmads)の読書会を軸にした旅行を企画し、全席を6分で完売した。順番待ちに対応するために追加された2週目の枠も、4日で売り切れた。

この結果は、ブランドが広告でフィード上の露出を買うのではなく、すでに存在するコミュニティの場に招かれたときに起きる反応を示している。2人のInstagramフォロワーは約3万人、TikTokは10万人未満だったが、旅行を動かしたのはフォロワー数ではなく、有料コミュニティとして運営される読書会だった。

投稿よりも、クリエイターの場を支援する発想

タレントマネジメント会社FARQの創業者Georgia Farquharsonは、ブランド予算の向かう先として、クリエイターに商品投稿を依頼するだけでなく、クリエイターが開く食事会を協賛するような形を挙げた。

参加者は報酬を受け取って集まるわけではない。クリエイター本人に関心を持つ人がその場に集まるため、ブランドや商品への関心も自然に伝わりやすい、という見方だ。1人のクリエイターの投稿だけでなく、参加者からも多くのコンテンツが生まれる点も特徴となる。

体験型マーケティング予算は拡大している

調査会社PQ Mediaによると、世界の体験型マーケティング支出は2025年に8.3%増え、約1,390億ドルに達した。体験型マーケティングとは、イベントや対面接点を通じてブランド体験をつくる施策を指す。

インフルエンサーマーケティング会社Linqiaは、対面のクリエイター施策が前年から67%増えたと記録した。米国広告主協会ANAの調査でも、マーケターの7割が、ブランドは物理的な対面接点への投資を増やすべきだと答えている。

イベント運営やブランド体験を手がけるFreemanのトレンド調査では、77%の人が、対面で接した後にブランドへの信頼が高まると回答した。視聴者側の関心も強く、配信者Kai Cenatの「Streamer University」には初回シーズン約120枠に対して100万人超が応募し、配信の総視聴時間は2,600万時間を超えた。

AI生成コンテンツの増加が、現実の場の価値を押し上げる

Georgia Farquharsonは、人工知能による生成コンテンツや架空のクリエイターが増えることで、オンライン上で誰が本物なのかを見極めにくくなっていると指摘する。一方、対面イベントでは実在する人がその場に集まるため、この不確実性が生じにくい。

クリエイターマーケティング代理店Billion Dollar Boyの調査でも、人間のクリエイターが作ったコンテンツよりAI生成コンテンツを好む割合は、2023年の60%から2025年には26%へ低下した。

KristenとMaddieは、今後さらに多くのクリエイターが、大きなフォロワー基盤よりも、小さく到達しにくいコミュニティづくりを意識すると見ている。2人のPatreonは、月額約12ドルで参加できる有料会員制コミュニティで、投稿数を絞りながら、より近い距離の参加体験を提供している。

What this means

ブランドが注目しているのは、単なる投稿露出ではなく、クリエイターの周囲にすでに存在する濃いコミュニティへの参加だ。旅行企画や食事会のような対面体験は、フォロワー数では測りにくい参加意欲や信頼を示す。体験型マーケティング予算の拡大、AI生成コンテンツへの選好低下も、この流れを後押ししている。