クリエイター25人が語るギフティング案件への本音
クリエイターの受信箱に届くブランド案件のうち、約6割はギフティング関連だった。条件なしの商品提供は5点満点で4.2点と高く評価された一方、投稿などの見返りを求める物々交換型案件は2.4点にとどまり、強い支持は得られなかった。特に、短尺動画制作や利用権の要求、強い催促、曖昧な期待値が不満の中心になっている。

Modash(インフルエンサーマーケティング支援ツールを提供する企業)が、クリエイター25人にギフティング(ブランドが商品を無償提供する施策)への受け止め方を聞いた。マーケター側では「クリエイターはギフティングに消極的」と見る声がある一方、調査では、拒まれているのは商品提供そのものではなく、不公平に感じられる条件だった。
マーケターの懸念と、クリエイター側の実態
Modashが以前に実施したマーケター調査では、約74人の回答者がギフティングへの関心低下を示した。理由として、施策運用の複雑さ、関係者の多さ、クリエイターが応じないこと、返信を得にくいことが挙がった。
一方で、クリエイター25人への聞き取りでは、ギフティングそのものへの拒否感は限定的だった。ブランドから届く案件の約6割はギフティングで、回答者の3分の1は定期的に商品提供を受け入れ、約半数はすでに知っていて好意を持つブランドであれば受け入れると答えた。
条件なし提供は高評価、物々交換型案件は低評価
クリエイターは、条件なしギフティング(投稿義務を伴わない商品提供)を、物々交換型案件(商品提供の見返りに投稿などを求める案件)より明確に好んだ。5点満点の評価では、条件なしギフティングが4.2点、物々交換型案件が2.4点となり、物々交換型を「とても好き」と答えた人はいなかった。
ただし、条件なしで商品を受け取ったクリエイターが何もしないわけではない。受け入れた商品については、どちらの形式でも約半数のケースで投稿が行われた。物々交換型案件を受けたクリエイターは、そもそも引き受ける案件を厳選しているため、投稿の実行率は比較的安定していた。
信頼を損なう商品や過度な催促が投稿を止める
投稿しない理由として多く挙がったのは、商品の品質や実際の使い勝手だった。商品を適切に試せない、期待どおりに機能しない、心から勧められない場合、クリエイターは視聴者との信頼を優先する。報酬が発生しない投稿で、その信頼を損なうリスクを負う意味は薄い。
ブランド側の圧力も不満の大きな要因になった。強い催促、短く非現実的な納期、コンテンツへの全面的な管理が挙げられ、あるクリエイターはブランドをブロックせざるを得なかったと答えた。条件なしと示された案件でも、回答者の半数超が投稿を求める圧力を常に、またはしばしば感じていた。
期待値が曖昧なまま商品が届くと、クリエイターは案件を正しく判断できない。投稿を前提にしながら条件なしのように見せるやり方は、ブランドとの信頼関係を損なう要因として語られた。
提供価値に見合わない要求が摩擦を生む
物々交換型案件では、8割超のクリエイターが、ブランドからストーリーズ(Instagramなどの短時間表示投稿)やリール(Instagramの短尺動画機能)、TikTok動画を求められると答えた。ストーリーズは許容できるという声がある一方、リールやTikTok動画は制作負荷が大きく、商品提供だけでは重すぎる要求と受け止められている。
利用権(ブランドがクリエイターの投稿素材を広告や販促に使う権利)を求めるブランドも多かった。物々交換型案件を提示するブランドの40%が利用権を求めており、クリエイターの3分の1は本当に好きなブランドや商品なら応じると答えた。一方、4割は報酬なしでは利用権を認めないとした。
具体的には、365日間の利用権、台本付きの複数リールと修正対応、20ドルの商品に対する60秒動画3本、犬用おやつと引き換えのリール5本、永続的な広告利用権などが過大な要求として挙がった。マーケター側にも、ギフティングを有償提携の安価な代替として使う姿勢に否定的な声があった。
評価されたのは、個別感と誠実な期待値共有
クリエイターが好意的に受け止めたのは、高価な商品そのものよりも、個別に向き合う姿勢だった。3分の1超のクリエイターは、手書きのメモが同封されているだけでも特別感があると答えた。マーケター側でも、3分の1がギフトボックスに手書きメモを入れていると回答した。
丁寧に個別化されたパッケージは、協業を本物で敬意あるものに感じさせる要素として挙がった。予算がないことを正直に伝えられた場合、商品を気に入ればストーリーズで紹介し、ブランドに感謝を示す可能性が高まるという声もあった。
一度は無償提供にとどまったブランドが、予算確保後に改めて連絡した例や、協業終了後も連絡を続けた例も紹介された。ギフティングは、先に価値を渡し、その後に関係を育てる施策として扱われていた。
What this means
Modashの調査では、クリエイターは商品提供自体を拒んでいるのではなく、投稿義務や利用権の要求が提供価値に見合わない場合に反発している。条件なしの提供は好意的に受け止められ、誠実な期待値の共有、相性のよい商品選定、個別感のある対応が、関係づくりに影響していた。