ブランドはクリエイター施策をメディアバイとして設計すべき、Gregory Curtis Jr.が指摘
Gregory Curtis Jr.は、フォロワー数を中心にしたクリエイター選定から、到達、エンゲージメント、視聴者の適合性、有効CPM(1,000回表示あたりの実質費用)を含むメディア計画への転換を求めている。おすすめ配信が主流になったことで、フォロワー数よりも関心軸に沿った到達や視聴者の信頼性が重要になったと整理した。

Net Influencerは、Empower Ocean Media Groupでブランドマーケティング責任者を務めるGregory Curtis Jr.へのインタビューを掲載した。テーマは、ブランドがクリエイターエコノミー(個人クリエイターがコンテンツやコミュニティを通じて収益を得る経済圏)を広報施策のように扱い、メディアバイ(広告枠や配信面を計画的に購入する考え方)として設計できていないという問題だ。
おすすめ配信の時代に、フォロワー数の意味が変わった
Gregory Curtis Jr.は、プラットフォームの配信ロジックが購読型のフィードから関心ベースのおすすめ配信へ移ったことを出発点に置く。投稿は、既存フォロワーだけでなく、その内容に関心を持つ人へ届く必要がある。クリエイターが1万人のフォロワーしか持たなくても、内容が合えば大きな到達を得る可能性がある。
この変化を、Gregoryは「インタレストエコノミー」、つまり関心を軸にコンテンツが発見される環境と呼んでいる。たとえば園芸に特化した発信者は、園芸に関心のある利用者のおすすめ欄に表示されやすい。フォロワー数は市場にあるテレビの台数のようなもので、実際に誰が見たかまでは示さない、という位置づけだ。
1万人で高反応のアカウントは、10万人で低反応のアカウントに勝る
インタビューでは、フォロワー1万人でエンゲージメント率10%のアカウントと、フォロワー10万人でエンゲージメント率1%のアカウントが比較された。Gregoryは、前者を毎回選ぶと答えた。理由は、反応が確認された到達であり、実際に視聴者が動いていることを示すからだ。
費用面でも、小規模なクリエイターには利点がある。ナノ/マイクロクリエイター(比較的小規模なフォロワー基盤を持つクリエイター)のコンテンツは、有料配信に使う際のライセンス費用を抑えやすい。MrBeastのような巨大クリエイターの素材は費用が高く、メディア予算を早く消費する可能性があると指摘した。
複数の小規模クリエイターを起用すれば、広告素材の数も増える。同じ素材を配信し続けて反応が落ちる広告疲れを避けやすくなる点も、Gregoryが重視する要素だ。
美しい投稿面より、視聴者の信頼性と市場適合を見る
Gregoryは、主要な消費財ブランドの多くがクリエイターエコノミーを広報施策のように扱っていると批判した。提案資料に顔写真やフォロワー数を並べるのではなく、到達、有効CPM、視聴者との適合性、予測成果を含むメディア計画として示すべきだと語る。
見た目の整った投稿面も、実際の視聴者を証明するものではない。22,000人のフォロワーを持ち、写真や動画の完成度が高いアカウントでも、データを見ると視聴者信頼性スコアが60%にとどまり、ボットの存在が疑われた例を挙げている。
Empower Ocean Media Groupでは、推奨前に視聴者信頼性80%以上を下限としている。さらに、ブランドが狙う年齢層や地域と、実際の視聴者が一致しているかも確認する。クライアントが希望するクリエイターを使う場合でも、年齢層のずれや信頼性の問題は事前に共有するという。
4層のクリエイターメディア計画で予算を説明する
Gregoryがキャンペーンに使う枠組みは4層で構成される。文化的な節目やイベントに合わせる「テントポール」、継続的に存在感を維持する「常時展開」、プロモーションコードやアフィリエイトリンクで成果につなげる「コンバージョン」、成果のよいクリエイター素材に広告費を投じる「配信拡張」だ。
多くのブランドは、このうち1つか2つしか実行していないとGregoryは見る。JD Sportsの施策では、ComplexConなどのイベントにクリエイターを起用し、テントポール型の展開を行った。JD Sportsは英国発のスポーツファッション小売企業で、Gregoryによると同キャンペーンは業界で評価を得た。
この4層の計画は、CMO(最高マーケティング責任者)がCFO(最高財務責任者)に対してクリエイター予算を説明するための形にもなる。Gregoryは、クリエイター予算は広報部門やソーシャル担当ではなく、メディアエージェンシー側に置くべきだと主張した。
著名クリエイターは土台ではなく、上乗せの役割
Gregoryは、著名インフルエンサーの価値を否定していない。ただし、キャンペーンの中心に据える唯一の存在ではなく、全体設計に上乗せする役割と位置づける。Kai CenatやMrBeastのような大規模クリエイターは、予算が許す場合に規模感やブランド連想を加える存在となる。
望ましい配分として、マイクロから中堅のクリエイターを約15人、より大きな名前を1〜2人、予算があればメガインフルエンサー(非常に大きな影響力とフォロワー規模を持つ著名クリエイター)を1人加える形を挙げた。小規模クリエイターはニッチな会話やコミュニティでの信頼を担い、大規模クリエイターは到達規模を補う。
今後注視すべき形式として、Gregoryはマイクロドラマ(短い物語動画を連続シリーズとして展開する形式)を挙げている。シリーズ型のコンテンツを作るクリエイターは、視聴者との関係を深め、おすすめ配信にも継続的に現れやすい。ブランドにとっても、繰り返し統合できる接点になると整理した。
What this means
フォロワー数や見栄えのよい投稿面だけでは、クリエイター施策の成果を判断できない。Gregory Curtis Jr.は、関心ベースの配信、視聴者の信頼性、エンゲージメント、配信拡張を含め、クリエイターをメディア資産として計画する必要があると語った。予算の置き場も、広報やソーシャルではなくメディア計画に近づけるべきだという主張が中心となる。