トップへ戻る
ブランド事例 / テックAug 10, 2026Digiday

Zoom、AI検索での露出向上にクリエイターを活用

Zoomは、ChatGPT広告試験プログラムに参加しつつ、有料広告だけに頼らず、クリエイターを通じた信頼性や権威性の向上をAI検索対策に位置づけている。ジャーナリストで映像作家のNayeema Razaとの提携では、ZoomのSNS投稿、ポッドキャスト協賛、年次カンファレンス登壇が組み込まれた。AI検索でどの情報源が引用されるかを把握し、マーケティングや広報の調整に生かす取り組みも進んでいる。

Zoom、AI検索での露出向上にクリエイターを活用

Digidayは、ZoomがAI検索で引用されやすくなることを狙い、クリエイターやジャーナリストとの連携を進めている動きを取り上げた。Zoomはオンライン会議サービスとしての認知にとどまらず、AIを中核に据えた総合業務プラットフォームとして見られることを目指している。

会議サービスから業務プラットフォームへ認知を広げる狙い

Zoomの課題は、知名度そのものではなく、何の会社として認識されているかにある。オンライン会議の印象が強い一方で、同社はAIを中核に据えた総合業務プラットフォームとしての理解を広げようとしている。

その一環として、ZoomはAI検索での可視性を高める戦略を組み立てている。AI検索とは、利用者の質問に対して人工知能(AI)が複数の情報源を参照し、回答として提示する検索体験を指す。ZoomはChatGPT広告試験プログラムにも参加しているが、有料広告だけでなく、クリエイター経由で引用される可能性を高める方向にも動いている。

Nayeema Razaとの提携で信頼性を強化

Zoomは夏に、ジャーナリスト、映像作家、ポッドキャスト「Smart Girl Dumb Questions」の司会者であるNayeema Razaとのキャンペーンを開始した。RazaはInstagramとYouTubeを合わせて3万人超のフォロワーを持つ。

RazaはZoomのSNSチャンネル向けキャンペーン動画に登場するほか、Zoomは同ポッドキャストの全6回シリーズを協賛する。さらにRazaは10月に開かれるZoomの年次カンファレンスで基調講演者を務める予定だ。提携の金銭条件は明らかにされていない。

AI検索で引用されるクリエイターへの関心

Zoomの最高マーケティング責任者であるKimberly Storinは、クリエイター施策とAI検索での可視性の間に、現時点で明確な直接相関を示せるわけではないと認めている。それでも、Razaとの提携は権威性と信頼性を築くための投資と位置づけられている。

大規模言語モデル(LLM:大量のテキストを学習し、文章生成や回答を行うAIモデル)は、回答を作る際に参照する情報源を選ぶ。Noise Media Groupの共同創業者兼最高経営責任者Joseph Leviは、かつてブランドは到達人数を基準にクリエイターを選んでいたが、現在はLLMに引用されるクリエイターを重視し始めていると述べた。

同様の動きは他社にもある。Pricelineは6月、ストーリーテリングを目的に、インフルエンサーやコンテンツクリエイターを重視してSNS予算を増やしたとDigidayに語った。広告会社Modern Impactでも、社名非公表の自動車ケア企業が、自然発生的な注目を狙うキャンペーンにクリエイターを使おうとしていた。

LLMが参照する情報源を見ながら施策を調整

AI検索での可視性について、マーケターは実践しながら学んでいる段階にある。SemrushのAI Visibility Indexによると、ChatGPTは平均15.4件の情報源を参照し、WikipediaやRedditを好む傾向がある。一方、Google Geminiは平均3.3件の情報源を使い、YouTube、Wikipedia、電子商取引サイトを重視する傾向が示された。

Leviは、LLMの回答に含まれる可能性を高めるため、ブランドの自社サイトや質の高い媒体でリスト形式の記事を公開するよう顧客に促している。たとえ直接引用される媒体でなくても、質の高い媒体に掲載されることは全体的な権威性に寄与するという見方だ。

Zoomはこの取り組みを社内で進め、生成AI向けマーケティング情報分析プラットフォームを提供するProfound AIと提携している。顧客の質問にAIシステムが答える際、どの情報源に依拠しているかを見極め、マーケティングや広報戦略の調整に使っている。Storinは、この施策をAI可視性戦略であると同時に、基本的なマーケティングでもあると位置づけた。

What this means

Zoomの取り組みは、生成AI時代のブランド発見において、広告枠の購入だけでなく、AIが参照しやすい信頼性のある情報源づくりが重視され始めていることを示す。クリエイター起用の効果とAI検索での露出には明確な因果関係はまだないが、権威性や信頼性を高める施策として試行が進んでいる。